松江市役所、新庁舎建替えについて
この春の市長選挙は市役所問題の「形を変えた『住民投票』」、「最初で最後の『住民投票』」だと思っています。
現在、この新庁舎計画は「松江を考える会」より裁判所に、公金支出差し止めの訴えが起こされております。
これは、「如何に市議会の承認を受けたものであっても、市長判断は違法であるという主旨」のものです。
これについては、今後、司法の場において客観的な審判を受けることになります。
また市長選挙においては、複数の候補から異なったご意見が現在は出ているようです。
これは争点のひとつとして、選挙戦を通じてフェアに議論され、市民の判断を仰ぐことになります。
ですから、この市長選挙の結果を以て、「新庁舎に関する方向性を定めるべき」と考えます。市民の選択ですから、結果はどうあれ私個人はまさに「ノーサイド」で協力する決意です。
一方、誰であろうと市長が変われば「松江市の代表者(市長)」が変わるのですから、市民団体の訴えの名義は新市長の就任以降は必然的に変更されます。
新しい市長は選挙戦を通じて行った主張に基づき、就任後自身の責任において行う「公金支出」について、改めて判断することが求められます。
私の考える松江市役所
まず、老朽化した市役所は建て替えるべきです。
しかし現行の建て替え計画は、一旦立ち止まるべきと考えます。
現在の新型コロナ禍の元、新しい時代に合った松江市のあり方、財政規模を鑑みて中期的に再検討すべきと思います。
まさに「禍を以て福に転じ」たいものです。
具体的には、
- ①防災の観点から水害時に3mの水位が予想される場所に、「防災施設」を新たに作るべきではありません。
仮に現行案で進めるにしても、少なくとも実施設計で以下の変更は掛けて欲しいものです。 - ②原発に近く、橋の損害や交通渋滞の予想される橋北には、非常時の「防災施設」は不向きです。
具体的には、警察、消防、医療、交通、給食などの大きな公的施設があり、高速移動が可能な高台で原発から離れた場所(松江市南郊)に想定すべきだと考えます。 - ③デジタル化による行政サービスは進展し、一般の市民が市役所に行く機会は大きく減りました。
しかし高齢者や郡部への配慮は、未だまだ重要です。その為には、既存の施設を利用すべきです。具体的には支所、公民館の充実やテルサ、ステイックビル等の有効利用です。 - ④福祉関係は、公共交通の便が優れたテルサなどの方が現在地より勝っているのは衆人の一致するものと思います。
- ⑤防災施設があり、未だ建築費の償還が終わらない現庁舎西棟は、新しい施設が出来るまでそのまま活用すれば十分です。
- ⑥市長部局や総務、市議会などは、県立プール跡地に小さく安価な計画で移設新築することが可能です。
くにびきメッセの施設や駐車場もお互いにシェア出来ます。もちろん松江市の業務のない週末などは、逆に貸し出すことも可能です。 - ⑦現行案では、次第に機能が縮小する市役所が核ですから、まちづくりの観点からも周辺地域の現在以上の活性化は考えられません。
むしろ現市役所跡地は宍道湖に面し、松江城と出雲大社との貴重な結束点として観光、商業施設として、多様に活用すべきだと考えます。